2020年4月23日(木)

▼新型コロナウイルスの感染拡大防止を目的にした県の「緊急総合対策」費はほぼ全額を国の臨時交付金で賄う方針。「緊褌一番」は平成28年度当初予算の命名だが、同対策を盛り込んだ令和2年度補正予算案は「人のふんどしで相撲を取る」になるか

▼未確定の交付金を当てにするのは「平時では考えられない編成」(県関係者)というのは当然の戦時だが、「いわば国への圧力」(同)という狙いもあるらしい。大判振る舞いとは打って変わって予算を渋る国相手にチキンレースを仕掛けている鼻息だが、「緊急事態措置」の延長は「国が方針を示せば検討する」(日沖正人防災対策部長)

▼カネも施策も国頼りではある。鈴木英敬知事のパイプが今度もよりどころということかもしれない。貯金に当たる財政調整基金を取り崩さず、借金に当たる県債も最小限ということが、そのことを物語る。「財政健全化道半ば」の県とはいえ、この未曽有の危機に貯金をはたかず、限度を超える借金もせずでは県の存在理由、使命は何かが問われかねない

▼「たとえ国が出してくれなくても踏み切ることにした」という知事の「緊急事態措置」での決意はあらゆる手を尽くすことを意味するとともに、十分な成算を胸にたたんでいるようにも受け取れる

▼クラスター(感染者集団)とされた四日市市の事業所は確認された5人以外陰性だった。と思ったら県初の死者が受診していた医院の看護師が感染していた。とどまる気配のない新型コロナ禍である。県民の不安をどう抑制するか。惜しむことない施策が冷静さを保つ力になる。