2020年3月26日(木)

▼桑名市多度町の三重ごみ固形燃料(RDF)発電所内から、基準値を上回るフッ素とフッ素化合物が検出された。RDFの脱法の歴史にまた一つ、箔が付いた。県企業庁は「汚染は表層」「地下水への漏出はない」「RDFでの汚染ではない」「原因は不明」

▼ハア、チョイナチョイナと合いの手を打ちたくならぬか。当方の責任は一切ありません、という思いがにじみ出ている。発電所設置から17年を経ての〝新発見〟。撤去を前に念を入れるよう県の指導を受けての調査結果というから、危なく半永久的に闇に閉ざされるところだった

▼フッ素化合物の使用は昭和62年、モントリオール議定書で禁止された。オゾン層破壊の原因物質とされ、紫外線増加に伴う皮膚がんなど生物への悪影響がはっきりしたためだ。地下水汚染も指摘され、大量使用するLSI(大規模集積回路)製造工場やドライクリーニング店への対策が県議会で問われた。当時の環境担当理事が「企業イメージを損なう対応を上場企業がしないはずがない」と答え「地域振興部長か」と批判された

▼検出された土壌は土が一部露出し、企業庁は雨水による浸透を防ぐため、いまさらながらシートで覆ったらしい。かつて議会が懸念した富士通多度工場の近くで、富士通セミコンダクターが平成28年、ヒ素による土壌汚染を届けている。ヒ素を含む試薬を使うが、漏洩事故などはなく「汚染原因は不明」だった

▼場所が場所である。建設前に調査はできなかったか。検出されるべくして検出されたという意味で、一連のRDF問題と変わらない。