2020年3月21日(土)

▼熊野市の温泉旅館「熊野の宿 海ひかり」が全校休校期間中、高校生以下の子どもがいる家族に施設を無料開放するというのは、コロナコロナで憂うつな最近のムードを吹き飛ばす久々に明るい話題ではないか

▼ホテル旅館や各種施設は異様なキャンセル続出で経営不安にうちひしがれているというニュースが全国から届く。県内は中国のからのキャンセルがあるものの、全般的にはすごい影響というより「局所的」と鈴木英敬知事が言ったのは2月5日の記者会見だが、その後鳥羽旅館事業協同組合から窮状を訴えられ、セーフティネット資金対象業種への指定を国に求めている。環境は目まぐるしく変化している

▼全校休校以来、伊勢志摩地域の旅館は子ども連れの祖父母の客が増えたという。仕事を休めない両親に代わって孫の世話を引き受け、一緒に旅行を楽しもうという祖父母の顔が目に浮かぶ。「熊野の宿 海ひかり」が無料開放を決断した対象の家族の中に祖父母が入るのかどうか。ゆとりのないに祖父母にとっても朗報になって一緒にカラオケや温泉を楽しめたとしたらさらに心が和む

▼保護者や子どもたちにリラックスしてもらうのが旅館の意図で、客室で食事ができる「コロナ撃退プラン」など、集まり自粛のコロナ対策を逆手にとったような企画に胸がすく。伊賀市議会では控え室で「濃厚接触になる」などと同僚議員に言って距離を置いて座った議員が不適切発言だと議長注意を受けた

▼是非はともあれ議員たるもの、辛気くささを吹き飛ばそうという熊野の旅館の心意気を見習ってほしい気がする。