2020年2月29日(土)

▼「ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず」は方丈記の有名な冒頭。万物は流転。変化し決して同じものはないという意味だが、「日の下には新しいものはない」は旧約聖書の言葉。芭蕉は「不易流行」。変わるものの中に変わらぬ本質があり、変わらぬ本質も変化を重ねるという

▼県議会一般質問を伝える本紙記者席が「かつて『時間を止めて』と声を上げた議員がいただろうか」。観光PR動画が有料広告として配信されたことへの質問で、河口瑞子観光局長が答弁書を終了時間直前まで読み上げたことでのやりとり。質問とかみ合わぬ上、再質問の時間がなくなるとして質問者が声を上げた

▼昭和60年の芦浜原発計画調査推進決議の審議で議場が騒然となったことがある。反対質問の中の漁業への影響について、農林水産部長が長々と答弁して質問時間を使い切ってしまったのだ。質問者側が中止を叫び、推進側が拍手喝采し、傍聴席を埋めた地元反対住民が怒号を浴びせた

▼その中で淡々と答え続けた農水部長は弁論部出身。答弁書に沿ったかは疑わしい。国出向が慣例の教育長へ就き”功労人事“と言われた。勧奨退職年齢の初の延長措置を受け、退職後は3カ月を経て出納長に呼び戻された

▼定年延長し副知事ポストへ待機させる”裏技“はこの先例に学んだかもしれない。「国会中継を見ているような」という記者席の趣旨とは違うが、検事長人事を思わせもする

▼河口局長は異例の3年目。女性登用が看板の鈴木人事に関係があるとは思えぬが、いささか古いフレーズながら10倍楽しくはなる。