2020年1月11日(土)

▼ジャーナリズムの反対語はマンネリズムだというのは駆け出しのころ読んだ本の一節。一番遠いと見られるジャーナリズムの世界ですら一番の大敵というから、マンネリは恐ろしい

▼県は相次ぐ不祥事の防止策として「北川改革」で廃止した「係長」を約20年年ぶりに復活する。組織に階層を設けない「フラット化」の導入で個々の職員が業務の着手から完成まで一手に引き受ける体制となり、職員が一人で仕事を抱え込む体質となって公文書の持ち帰り、個人情報の紛失などにつながった

▼いわゆる北川改革の〝負の遺産〟の一つで、悪いのは北川改革だみたいな論理展開がいつもながら見事だ。改革は一気にか、徐々にかには各説ある。北川正恭氏は前説だった。器を思いきり揺さぶったら長年見過ごされてきた悪習、問題点が浮いてくる。その上で解決策という説だ

▼間仕切りを取っ払う執務室の垣根排除、課を廃止してチーム、課長、係長の名称はマネジャーへという組織改革に大方の職員は戸惑った。急激な変革を嫌う野呂昭彦前知事の8年間は徐々に修正した期間。組織論的にはそれぞれ効果があったのではないか

▼「フラット化の行き過ぎで」と鈴木英敬知事が言ったのは不祥事続発の1年ほど前。「チェックすべき担当がない、あいまいになっている」。思いが実施される。組織論としてこれもまた適切な修正と言えよう

▼マンネリが組織をむしばむ元凶であることは間違いない。見直しは常に必要だが、職員はマンネリが大好物。変革もたちまちマンネリにしてしまう名人であることを忘れてはなるまい。