2019年11月19日(火)

▼用地買収を巡るトラブルで、県の不手際で約160万円の債権を放棄することなったことに対する議会の疑義に、不適切を認めながらも「契約上は相手方が抹消の手続きをすることになっているため、一義的には相手方に債務がある」という渡辺克己県土整備部長の答弁に今昔の感がある

▼根抵当権付き土地を解除して受け取る契約をしたものの、確認せずに代金を支払ったことに伴う債権を回収できず放棄する―という内容。「不適切な事務による損失を税金で穴埋めするのはおかしい」という議会の質問に「相手側に債務がある」と答えたのだ。税金で穴埋めすることの説明にはなっていない。責任まで、一義的には相手側だと言っているようでもある

▼平成9年の売買という。北川県政誕生の2年後で有り、カラ出張発覚の1年後。情報公開条例改正が指示された年でもあり、2年後に制定された。この間、職員はカラ出張絡み中心に情報公開請求とそれに基づく個人訴訟に悩まされた

▼以来、たとえうさんくさい事案でも手続き的に適合していれば公平公正第一。余計なことに首を突っ込まない、という自己防衛の姿勢が定着していく。契約はしておいて確認はしないという経緯が、そのころの県職員の気分を反映している

▼カラ出張の損害は課長級以上で弁済した。組織の問題と捉えたのだが、仲間内の飲食費が3分の2ともいわれ、関与しない職員の不満は少なくなかった。事務処理ミスによる損害の穴埋めはしばしば問題になる。個人負担は士気にかかわるが、といって納税者にしわ寄せする理屈にはならない。