2019年11月16日(土)

▼リニア中央新幹線の三重県内駅設置問題で静岡県知事の発言を「センシティブな話を軽々しく」と批判した手前か、奈良県が名阪国道有料化を要望していることについて記者会見で問われ「荒井(正吾奈良県)がおっしゃっていることの是非はちょっと私からは」などと警戒厳重を極めた

▼「コメントする立場にない」とも言ったが、大半が県内通過路線の有料化問題だ。河野一郎建設相(当時)が県民に「無料の自動車専用道路を1000日で建設する」と約束してできた道路でもある。コメントする立場ではないのか

▼県内にそんな要望はないので「今のところ対応をとることはない」というのもいただけない。この問題で県内に要望がないことに何の意味もないからだ。奈良県の要望は大型トラックが有料の西名阪を避けて奈良市内を通行し混雑、騒音が激しいためで、仮に奈良県側が有料となれば、同じ現象が県内に移動することは東名阪側で実証済みだ

▼東名阪の桑名―蟹江間は昭和50年に開通し、同54年には名古屋西インターまで延びたが、革新市長の名古屋市は騒音、排ガス問題で大型車を弥富インターで通行止めにした。桑名インターを下りた大型車がごう音を巻き散らして桑名市内を国道1、23号へ抜け、同61年の解除まで市民を悩ませた

▼悪夢は伊賀、名張市で再現される可能性は大きい。「奈良県の状況を情報収集しておく」というのもいまさらではないか。同県要望は平成26年からという。旧運輸官僚の荒井知事が古巣の国土交通省と掛け合っているのだ。お粗末な危機管理とならなければ幸い。