2019年11月14日(木)

▼禁漁に指定して魚が増えたところで一挙に一網打尽―県警組織犯罪対策課などというから物々しいが、不法残留等の疑いで摘発した外国人が51人。過去10年で最多。今年はちらほらだが、それ以前の2年間はほとんど見かけなかったのは、いわば養殖期間だったかという気がしたのである

▼入管法改正で外国人労働者受け入れが決まった。背景には人手不足があり、外国人技能実習生の失踪問題など、原因が多岐にわたる不法就労問題も緩和の傾向かと思ったが、実態は逆のようだ。不法滞在者の在留資格の許可がこの1、2年、著しく減っている

▼元国連難民高等弁務官の緒方貞子さんが10月に死去して惜しむ声が国中に満ち、安倍晋三首相も哀悼のメッセージを出したが、彼女が強く願った難民の対応改善はほとんど耳を貸さず、こちらも逆に厳しさを増す

▼外国人労働者が雇用の調整弁の役割を強いられているのはシャープの雇い止めでも分かる。逆行するかのように警察など4省庁が4月、不法就労等外国人対策の推進を申し合わせた。入管法改正との整合性を急いだなどの見方が広がる

▼思い出すのは伊勢志摩サミット前の厳しい警備体制の中で、離島が多いが村社会のため外国人など見知らぬ人の潜伏が難しく、テロ対策ではむしろやりやすいなどの当局の指摘があったことだ。東京オリパラを控え、不法滞在者を隔離しようという取り締まり対策は何事も徹底主義の日本としては考えそうなことだ

▼もっぱら風俗関係だった取り締まりが、いまさらのように工場に向けられたのも、つじつまが合う気がする。