2019年9月30日(月)

▼鈴木英敬知事が楽観主義者か悲観主義者かはともかく、楽観主義を心がけていることはいつぞや厳しい財政状況を議会で問われ「幸福論」を著わしたフランスの哲学者、アランの楽観論を引用したことでも分かる

▼日韓関係の悪化に伴うヘイトスピーチ(憎悪表現)の対応を問われた今議会では「決してあってはならない」として、ともに社会を築く多文化共生社会づくりの指針に盛り込むと答えたのも、その表れに違いない

▼「日韓関係悪化などで、ネットの差別的書き込みが倍増」とも答弁したが、ヘイトスピーチの端緒はむろん日韓関係ではない。京都朝鮮学校へのバッシングが他方面に拡大していった。県内のヘイトスピも具体的地域は主に北勢で、中でも四日市の朝鮮学校への街宣は人権団体から指摘されている

▼日韓関係の悪化が元徴用工に始まる両国政府の確執であることは周知の通り。京都朝鮮学校問題も、拉致やミサイル発射に伴う政治的関係悪化が背景にある。文科相が3年前、朝鮮総連との関係を問題視し、朝鮮学校補助金見直しを自治体に通知。県は全国2県とともに執行を停止した

▼一昨年は、同学校に根抵当権が設定されているなどとして予算を見送り、記者会見で「政治的か」と問われ、「そういうことではなく、客観的に公平な教育が行われているかどうかなどで判断」。質問「だけどミサイル飛んでうんぬんとも」。知事「ああ、なるほど」

▼ひょっとしたら、自分もヘイトスピーチ倍増の一翼を担ってはいないか、と考えるのが悲観主義論者なのだろう。知事はやっぱり、心底楽観主義?