2019年8月19日(月)

▼民主党政権のころ、農林水産副大臣を務めていた篠原孝氏が「決められない」党内事情について語っていた。労働組合や弁護士など出身者で構成され、それぞれが自己主張を変えない。大義に一丸となる体質がそもそも欠落している、というのだ

▼旧社会党の体質を聞いている思いがした。55年体制の昭和40年代後半、学者ら有識者で「社会党をよくする会」が生まれた。自民党と政界を二分し、政権交代可能な党と期待と歯がゆさが生んだ〝勝手連〟に近い組織だったが、その後「社会党をはげます会」に名称を変えた。どうにも効き目なし。親の心子知らずが名称変更になったのではないか

▼土井たか子委員長の〝おたかさんブーム〟で党勢が拡大し、細川連立政権の中核をなし、自社さ連立の村山政権を誕生させたが、結果的に衰退へ向かって歯車を一つ一つ回していったように見える。社民党消滅の危機とも言われた参院選で一議席確保、得票率2%以上の政党要件を維持したことが、今後への長い目でどういう位置づけになるか。久々に紙面に登場した動静でも危機の継続が報じられるだけ。参院選直後に語られた早期の党再生は、相変わらず決意の表明にとどまっているようだ

▼「政策にも運動にも多くの党員は自信を持っているが、議席や得票につながっていない」と又市征治党首が埋没の不安を党会合で語ったという。党員の自信と党首の不安がかみ合っていないということだろう。自信も不安も、新しい酒を盛る革袋としてはふさわしいかどうか。歯がゆさを感じる〝親〟は、死に絶えてしまっている。