2019年8月12日(月)

▼自民党の三ツ矢憲生県連会長が先の参院選で現職の吉川有美議員の「一番大きな功績は子どもをつくったこと」と評した問題について自ら解説した。「かえって名前が売れて助かった」「あれは愛嬌だったと思っている」

▼悪びれたところなどないのが見事だ。子どもをつくらなかった女性国会議員は「一番大きな功績」の栄誉を享受できないということか。子どもをつくった男性議員は共有できるのか。つくらなかった男性議員は。国会議員の功績とは―。問題視された内容などすっ飛ばした解説でもある

▼三ツ矢会長は参院選公示前の県各政党代表ら談話で吉川氏を「県初の女性参院議員」と紹介し、平成元年選比例区で当選した三石久江氏の位置づけはと本欄で書いたことがある。旧社会党名簿順位20位の三石氏の当選は、同党土井たか子委員長の〝おたかさんブーム〟があったとはいえ、事前予想を大きく覆した

▼ブームを〝マドンナ旋風〟に引き上げたのは、三重選挙区の現職を応援にきた堀之内久男農水相の発言である。桑員地区で「結婚していない。子を産んだこともない。これで総理が務まるか」という趣旨で土井委員長を皮肉り、「家庭でも旦那を立て、女は一歩後ろに引いてうまくいく」など語り聴衆を爆笑させたが、女性差別発言だとされて、自民党を大敗北させた

▼三ツ矢会長の衆院選初当選はそれから15年後。公示1週間前に出馬表明した井上哲夫氏が現職を打ち破った選挙の実感はあまりないだろう。堀之内農水相発言に爆笑した聴衆の意識も、まだまだ日本人の主流であるのかもしれない。