大観小観 2019年6月6日(木)

▼町村議会の議員のなり手不足は聞いていたが、県内でこれほどとは寡聞にして知らなかった。とにもかくにも選挙戦をスタートさせた度会町議選の候補者各位の労を多としたい

▼定数割れで補欠選挙も懸念されたが、候補者説明会までに何とか確保。無投票と見られていたのが告示前日に無投票阻止の立候補の動き。選挙戦突入の形成になった告示当日、1人が断念を申し出て撤回する波乱があった。背景に選挙で「しこりを残したくない」という親族の意向と無投票はよくないとする本人と支持者の思いの葛藤があった

▼本紙候補者アンケートには無投票は「悪い」と回答しているが、定数削減問題では「現状を把握しきれていない」として賛否の判断はしなかった。強い意志での出馬ではなかったようだが、無投票阻止のため駆け込み届け出をした候補者と、定数割れを防ぐために出馬を決意した候補者と―12人の立候補者のうち少なくとも3人はそうだったのではないか

▼本紙アンケートは全国の町村議会に共通する課題が凝縮している。全員が無投票を「悪い」としながら、定数削減賛成は3人。地元意見の反映や女性、若者の間口の縮小など、反対の主張はさまざまだが、若者らを引きつけるには報酬の低さが問題としている

▼日本の議会が3月、9月開会を基本に始まったのは農閑期に対応した英国議会をモデルにしたからだと言うのは元総務相の片山善博氏。日曜議会や夜間議会など、地域の実情に合わせた議会の形も考えるべき時期だという

▼その前に地方議会への住民の関心をどう高めるかが課題ではある。