2019年5月11日(土)

▼教職員らの懲戒処分の厳罰化が県職員より一カ月余り遅れたことについて、廣田恵子教育長は「他県の状況を聞き取るなど慎重に検討したため」。内容が県と同じなことには「独自性を出すために期間を置いたわけではない」

▼にこりともせずに言ったに違いない。自分たちの言葉で自分たちが大笑いする最近のお笑い芸人は範とすべきだが、障害者雇用率の水増し問題で、発覚した期間以上、さかのぼって調査しない理由について「前向きな姿勢で臨みたい」と語った。行政用語を駆使するのは巧みでも県民に分かりやすく、理解を得るように説明する気などないのだろう

▼厳罰化指針と表記ミスによる過去の議案訂正を一緒に発表しなければならないというのはいかにも県教委だが、カラ出張を改めたのは県に遅れること2年。一カ月なら大きな進歩と言わねばなるまい。効果を期待するのは、無いものねだりというものではないか

▼傷害行為を停職から免職に引き上げたり、公文書取り扱いのルールを新設しても、越境入学生の保護者に就職先を紹介した教職員らを「責任はあるが、規則違反を知り得るのに確認していなかった県教委に重い責任がある」として見逃す行為が処分対象になるわけでもあるまい

▼ルールを変えてルール違反を〝合法〟にしてしまった手口も罰せられたりしない。肝心の不祥事の土壌は温存されたままと言えよう。せめて「調査しない」(廣田教育長)と言って、鈴木英敬知事から「認識の甘さ」だと再考を迫られたり、調査を指示される事態だけは繰り返さないとの決意はしてもらいたい。