2019年3月13日(水)

▼「法律で対応できるため、直ちに制定する必要はない」と、県が言い続けてきた残土条例問題で、現地を視察して「再検討する」と表明した鈴木英敬知事。先の県議会で「すごい」「個人的には(知事選の)推薦状を」と評価した地元尾鷲市・北牟婁郡選出の津村衛県議は、時期については検討結果の模様見としていたが、いよいよ真剣に考えなければならないか

▼鈴木知事は11月に条例案を上程予定と表明した。条例がある他府県を調べた結果「条例に一定の抑止効果がある」と判断したことが方針転換の理由の一つ。議会が請願を採択してから4年。尾鷲市や紀北町に積み上がってしまった建設残土は、県の見通しの誤りを象徴する異物であることを認めた格好になった

▼県外から大量に持ち込まれる廃棄物に県が悩まされてきた歴史は長い。通過交通量の増加とともに、幹線道路周辺の山中に一般廃棄物が大量に投棄されて問題になったのは半世紀以上前だ。特に伊賀山中が無残なありさまで、いわば炭鉱のカナリアの伊賀からの請願を県は無視した

▼続いて問題になったのは産業廃棄物である。桑名地域などいまなお対応に追われているが、問題は産廃法改正が現実に追いつかなかったことと、私有地への野積みだ。建設材の仮置きという説明に行政は手が出せなかった。結果、周辺地価が下がり、安値売買されて投棄面積が拡大していった

▼今回の県の聞き取り調査で、市町は「農地を埋め立てる名目での搬入」に悩まされているという。最初は悲劇として、次は喜劇として、歴史は何度でも繰り返す=三重県庁。