2019年3月8日(金)

▼障害者の雇用に水増しがあった県警本部が、4月には法定雇用率(2・5%)を達成する見込み。発表した昨年8月の不足分が6人で、いつのまにか7・5人に修正されていたのは県警らしいが、たちまち是正する手際もさすがと言える

▼中央官庁の中で、警察庁は数少ない水増しがなかった組で「(厚生労働省の)通達を素直に読めば当然」と答えていた。県警も下手な言い訳はできまい。13人雇用は真剣さを物語るが、早きをもって尊からず。杉本熊野委員の正規と非正規の割合を問う質問に正規8人、非正規5人と答弁

▼もう一点。「採用に当たっての『合理的配慮』」については「それぞれの障害の状況を確認し、勤務内容や勤務場所を決めた」。障害者差別禁止条例は、合理的配慮の提供に個別の聞き取りとそれに基づく対応を求めている。万事に抜かりがない。県教委のように「介助者なしに勤務できる方」の条件を残したまま募集して、障害者団体から指摘され、大慌てで修正するような間の抜けたことなどはしないのだろう

▼合理的配慮が、勤務内容や勤務場所の選定だけで対応できたらしいことにも驚かされる。多くの行政機関が水増し是正を急ぐため、民間がせっかく採用・育成して戦力となった障害者が奪われる実質〝民業圧迫〟の声もある。雇用義務対象となった精神障害者は県の募集対象ではないし、目の見えない人も職員の中に一人もいない

▼「安定」を売り物に使いやすい障害者だけいいとこ取りしているという批判は強い。災い転じて福となす。内容、実態とも模範になるいい機会である。