2019年3月3日(日)

▼神社でさい銭泥棒が続発したのはいつのころだったか。無人の上に、さい銭箱は放置されていて、切羽詰まった人にとっては神のおぼしめしに見えたかもしれない。「罰当たりめ」という神主のコメントが記憶に残る。悔しさがほとばしるようで、ユーゴーの『レ・ミゼラブル』に登場するミリエル司教のようにはいかないものだと笑った

▼さい銭箱は拝殿の中に移してカギをかける対策が進んだと聞いたが、さい銭を管理する神職のトップ、宮司が盗んでいたのでは何の効き目もない。罰が当たると思わなかったか。国家のため殉難した人を祀る護国神社の代表役員の行為に、神も「盗人を捕らえてみれば我が子なり」と戸惑っているのではないか

▼55歳で、盗んださい銭が2万5千円。「小遣いほしさ」と供述していた。神職の懐具合を思って切なかったが、余罪追及で玉串料10万円も着服していたとして再逮捕され追起訴された。懐具合への同情心揺らいでくる

▼関係者の警察への相談がきっかけで、調べたら、さい銭箱の引き出しを開ける姿が防犯カメラにばっちり映っていた。まさか自分が監視されるとは思わなかったのだろうが、神社のずさんな会計管理の実態が見え隠れしている気もしてくる

▼寺も含めて、宗教法人の会計処理は分かりにくい。宿泊施設が課税対象かどうかが時折問題となるし、法人代表が政治家を兼務する場合、お布施や喜捨と政治献金を政治資金報告書などで見分けるのは容易ではない。護国神社宮司の使い道は何だったのか

▼娘の七五三のお祝いをしてもらった。複雑な思いは募る。