2019年1月6日(日)

▼日本の有休取得率は50%で、欧米やアジアなど19の国・地域で最下位―世界一有休が取りにくい国という調査結果を旅行予約サイト運営会社がまとめた。有給が取りにくくても休みが多ければいいじゃないかと、県職員は思っているかもしれない。六日までの年末・年始休暇を取得する職員に配慮して、鈴木英敬知事は仕事始め恒例の年頭あいさつを、今年は七日に繰り下げたという

▼働き方改革の一環らしい。県働き方改革実行計画は、基本的考え方として企業文化や風土を変え「一人ひとりが、より良い将来の展望を持ち得るようにする」とある。上司や同僚に気兼ねして有給が取りにくい企業風土の改革という趣旨も含むのだろうが、気兼ねしなくて済むように年頭あいさつを順延することが、横並び意識の改革になるのかどうか

▼OECD38カ国の一人当たり労働時間は少ない順で11位で、アジアのほとんどの国はそれ以下だ。特徴的なのは祝祭日の多さが世界一ということで、みんなで休めば怖くないという国民性がハッピーマンデー制度や日曜日に祝日が重なった場合の翌日繰り延べの仕組みを生んだ一因と言われる

▼年頭あいさつ順延は一人ひとりによりよい展望を持たせるというより、休日を増やしてやる考え方に近いのではないか。先の旅行予約サイト運営会社の調査では有休取得に罪悪感があると答えた人が58%で、こちらも最も高かった。県は所属長のきめ細かい指導で有給取得を促している。手取り足取りということだろう。「上がうるさいので」ということなら、旧態依然の文化ではある。