2018年11月6日(火)

▼叙勲の時期になると辞退した人のことをよく思い出すのは一人しか知らないせいか。県人事課のかつての部下に打診され「そんなのはいらんのや」と一蹴した

▼「公務員というのは事業途中の一瞬を捕まれたら手が後ろに回る宿命にある」と言っていた。あわやということがあったのかもしれない。勲章など柄じゃないと腹をくくっていたか

▼いつぞや医療従事者の会館が完成した時、来賓に県保健衛生部長と並んで地域振興部長のその人の名があったのに笑った。保健衛生部次長時代に関わったが、辺りは風致地区。国の許認可はじめ手続きは複雑で繁多だが、すべて整えた形にして事業着手した。「こんなことしてええんかと震えた」と当時の部下が語っていたが、後に正規の手続きに巻き替えてしまった

▼筆頭の企画調整部長就任会見で趣味を聞かれ「用地買収」と答えたのも話題になった。どんな手法か。部下らに聞いた人がいる。「ニワトリの飼い方なんかを学ばされ、土地のことはいいから、とにかく話をしてこいと追い立てられた」

▼原発推進の最前線で指揮し、反対派の拠点だった漁協を推進に変える道筋を作ったが、啓発紙に原発もやかんも沸騰させたら危険という趣旨を掲載し、原発とやかんを同列に扱うのかと議会で批判された

▼型破りで、ひそかに兄事した。意に沿わぬ担当や指示を受けたらどうするか聞いたことがある。「サボればいい。公務員はサボっても首にはならん」。事業の見込み違いの不要額6億円にも悪びれぬいまどきの県職員にはいないタイプだが、あまりいても知事が困るだろう。