2018年11月4日(日)

▼一瞬、キツネに化かされた気持ちがしたのは筆者だけか。県教委の4―9月の児童生徒のいじめ調査で、認知件数が前年同期比430件増の2100件。過去最多となり、児童生徒の生命身体に大きな危険が生じる恐れのある「重大事態」も同2件増の3件

▼調査期間が違うから問題ないという見方もあろうが、その3日前に発表した昨年度のいじめ認知件数は2219件で前年度比3年ぶりの減。「国からの通知により、いじめの定義を踏まえた積極的ないじめの認知を推進した結果、平成28年度は大幅に増加しましたが」と県教委。「29年度は387件減少しています」の解説付きだ

▼「重大事態」も2件減の1件だったから、わずか3日でそっくりひっくり返った格好。4―9月期が過去最多になった理由について、県教委生徒指導課は「本年度施行の『県いじめ防止条例』で方向性が示されたことにより、積極的に認知する意識付けができた」

▼「国の定義制定」と「県いじめ防止条例の施行」の違いでそのたびに「積極的ないじめの認知を推進した結果」「積極的に認知する意識付けができた」と、件数の大幅増が繰り返される。「歴史は繰り返す。一度目は悲劇として、二度目は喜劇(茶番)として」(マルクス)

▼3日違いで正反対の分析結果を発表し、理由の説明はない。さすが県教委だが、文科省とは別に25年から実施した県独自調査は「未然防止、早期発見・早期対応につなげるため」。本年度の条例施行で何もかも増えましたというだけでは説明責任を果たしているとは言えまい。