2018年9月22日(土)

▼地元山口県で、安倍晋三首相は明治以降、同県は総理大臣を輩出していることを誇り、それに連なる喜びを語ったという。一人の総理大臣も出していないが、県が誇るのは「憲政の神様」尾崎咢堂を国会に送り続けたこと。自民党総裁選で、石破茂元幹事長の党員・党友票が安倍首相を上回った。面目なしとしない

▼安倍首相は3期任期中に桂太郎の首相最長記録を更新すると見られる。桂は尾崎の最大の政敵だった。「玉座を以て胸壁と為し、詔勅を以て弾丸に代へて政敵を倒さんとする」の有名な演説は桂に向けてであり、玉座と詔勅に隠れて政権を延命させてきたという意味でもある

▼演説中に顔色の悪い桂を見て、指を指せば倒れるのではないかという気がしてやってみた。本当に苦しみだした、と尾崎の回顧録にある。闘病中だった桂の心臓を刺激したかどうかはともかく、第三次桂内閣はわずか62日、史上2番目の短命で終わった

▼第一次桂内閣は日露戦争の処理を担当し、三国干渉などで成果の乏しい結果に国民が憤激するなど、不人気だった。第二次組閣で挽回したいと目をつけたのが国会の片隅にたむろしていた新聞記者連中だった。専用の部屋を用意し、取材の便宜も図った。国家機関の中に記者クラブが記者室を備えて常駐する先鞭をつけたのかもしれない

▼尾崎の演説は組閣にまつわる策謀を指摘したものだが、国民も同調して一部は警察署や新聞社を焼き討ちするなど暴徒化し総辞職している。狙い通りとはいかなかったようだ。安倍首相の新聞記者嫌いは藩閥政治のDNAなのかもしれない。