2018年9月7日(金)

▼今日告示される自民党総裁選は安倍晋三首相が断然優勢で、石破茂元幹事長はどこまで支持を広げるか―勝敗は決まったみたいな報道ばかりのせいで、自民党から新聞・通信社に送られた「総裁選挙に関する取材・記事掲載について」と題する文書に関心を向ける余裕ができたか。報道に対する圧力、けん制などの論陣が目立つ

▼これまでも総裁選前には同趣旨の文書を配布している、「前例踏襲」だというのだが、NHKはじめ在京テレビ局には送ってない。「個別出演交渉の際要請する」というのが同党の言い分で、何とでも言えるわなあというのが世間の見立てだ

▼文書は「各候補者を平等・公平に扱って」の〝お願い〟で「取材は規制しない」がインタビュー、取材記事、写真は内容、掲載面積とも平等、公平に。掲載日が異なる場合は全ての候補者の氏名を記し―と注文している

▼大きなお世話だが、「平等・公平」は掲載面積など形式的なことで、石破元幹事長のスローガン「正直、公正」を、安倍首相へのあてこすりと見て吉田博美参院幹事長が「個人攻撃に見え嫌悪感」を示したたぐいではなさそうだ。論陣は「平等・公平」も安倍批判封じだと反発するが、記事や写真の掲載面積を平等、公平に扱うのは選挙報道そのものだ。一候補者の話題を報じる時は他の候補の名前も掲載する

▼自民党は各社の報道姿勢を尊重しての〝お願い〟のつもりかもしれない。あるいは不公平・公正批判を恐れ、有権者への判断材料提供より形式と足して二で割る論調を展開してきた報道姿勢の足元を見られたのかもしれない。