2018年7月12日(木)

▼地域連携に熱心な大学と言えば県内では四日市大学だった。平成13年に四日市市の四日市地域政策研究所を受け入れ地域研究、政策立案・提言などを行ってきた。方向転換したのは、国立大学の独立行政法人化とともに国の予算が削減され、自主財源の確保が求められ出してからである

▼県の地域創生戦略の一つとして、県内自治体との協定締結とプロジェクトの実施を目指し、平成28年度には県内全市町と締結して地域創生の実践に関する諸課題などの取り組みを進めた。地域連携の今後について再検討の時期にさしかかっていると同大首脳は語る

▼東京大学が地域の課題に応える文理融合型・フィールドワーク重視の新たな研究拠点として地域未来社会連携研究機構を設置したのはこの4月。理由は国立大学を取り巻く厳しい環境と無縁ではないのだろう。成果が求められる一方で、論文引用数では乱高下している。国内トップランキングだとあぐらをかいているわけにもいくまい

▼機構は総合文化、工学系、人文社会系研究科など同大十部局と連携し「研究」「地域連携」「人材育成・交流」の三局面で、地域の自然や文化、経済社会に関する専門知識と地域分析の専門的技能を持った人材を育成していく。地方自治体との連携は、県が初めてとなる

▼県内にサテライト拠点を設けて、AI(人工知能)などの専門的な技術を県内で生かす予定。鈴木英敬知事は「日本でも最先端の研究をしている機関の協力により、地域の課題が解決されることを期待している」。機構にとっても、成果が問われることになる。