2018年6月22日(金)

▼「寝物語に予算折衝をやられてはかなわんぜ」というのが、知事夫人の県体育協会副会長就任時に県OBらとかわした冗談である。今度は鈴木英敬知事自身が同協会会長に。県は「制度上の問題はない」。やはり、現役は面の皮は、厚い

▼地方自治法上の兼業の禁止には当てはまらないということだろう。「長は、当該団体に対し請負をする者(など)の無限責任社員(などになる)ことができない」が法だが、県と協会の契約の当事者が同一人にならないよう小細工をした上での就任という

▼あるいは首長が自身トップの財団法人と契約し、双方代理禁止違反だとされた最高裁判決を指すか。法の抜け穴をくぐらせたら追随を許さぬ県職員の面目が躍如としている

▼おねだり上手の元副知事を副会長に従えての就任というから、名コンビで国体に向けてまた何か、民間協力の新しいアイデアを考えているのかもしれない。県の調べでは平成20年度の大分国体から県開催翌年の栃木国体までの15大会で、知事が体協の会長になったのが県を除き五件

▼「制度上問題はない」ことへの補強材料のつもりだろうが、倫理ランキングがあればワースト5。いや6の仲間入りか。契約の当事者にはならなくても事業計画の承認はするのだろうから制度にまぎれの余地は増えた。「知事案件」の御教書がまた飛び交うことになりそうだ

▼田中覚、田川亮三、北川正恭の歴代三知事も体協会長に就任している。兼務整理を言い出したのは北川氏で、野呂昭彦知事が進め、鈴木知事も当初継承した。元に戻したのは給与だけではなかった。