2018年4月23日(月)

▼昔鈴鹿市長の親類の業者が県から指名停止を受けた時、、国から招いた市助役が県に停止期間短縮を陳情したことがある。本当ですかと、国に戻っていた当人に確認したら「あれが陳情ですか。陳情とは」と長々「陳情」の講釈をされたのには閉口した

▼テレビ朝日女性社員との録音に、財務事務次官は「全体が分かればセクハラに該当しない」。「そもそもセクハラとは」とでも講釈するつもりか

▼セクハラを定義する法律は男女雇用機会均等法。主に対価型と環境型に分類されるが、いずれも職場や学校など、上下関係や権力関係が存在する環境が前提。このところ財務省を「最強官庁」と表現する報道が目立つが、「セクハラ行為があった」と判断したテレ朝は、財務省の事務方トップと記者との間で何らかの力関係があると認めたのだろうか

▼「夜討ち朝駆け」など、現在の取材体制が定着したのは昭和30年代、司法界のドンが息子の新聞記者をよろしくと後輩らに頼んだことがきっかけといわれる。スクープを連発された他社が記者の尻をたたいた結果、過剰な特ダネ競争が始まった

▼やがて自分(自社)だけ出し抜かれる恐怖と重なる。取材先からの出入り禁止は外国メディアには勲章になるが、日本の場合は情報源から閉め出されることの危機感と表裏をなす。「もっとうまくやれよ」という暗黙の視線が組織に漂い、評価と結びつく

▼「無冠の帝王」はいまや死語。取材先との関係が対等ではない、あるいは自社の体質が取材先のセクハラ行為を影で支えているとテレ朝は言っているつもりではあるまいが。