2018年4月4日(水)

▼新職員辞令交付式などで、鈴木英敬知事はアリストテレス、パスカルの名言を引用して奮起を促したと本紙『記者席』。もう一人、孔子の名が抜けたのは、知事としても不本意ではなかったか

▼「行政も信なくば立たず」は論語の「民信なくば立たず」の援用。「政治は民衆の信頼なくして成り立つものではない」の意だが、三木武夫元首相が自民党総裁選に出馬する時に使った言葉として知られる。信頼があるから立候補するんだという趣旨に解されてきた

▼二期目最終年度に入り、知事選への観測がしきり。3月15日の会見では「まだ任期満了まで一年以上」。同27日は自己評価を問われ「県民がされるもの。私からは僭越」。警戒厳重を極める中での「信なくば立たず」。ちょっと気を回してみたくはなる

▼閑話休題。文書改ざん問題では「県も過去に悔しい経験もした」として「『のど元過ぎれば』になってはならない」。鳥羽港湾工事でのこと。別工事の写真を添えたり、業者へ資料作成を頼んだり、起重機船故障など虚偽の打ち合わせ簿を作ったりした

▼聴取した職員の中に、国の補助金打ち切りを避けるためやったという証言があったそうだ。「予算獲得より決算重視を」と職員に生活者起点への意識改革を何百回も話したと言ったのは北川正恭元知事だが、誰も覚えていないのだろう

▼調査報告書にもそんな証言はない。「再発防止策」を大々的に発表し、原因の徹底検証をうやむやにするのはいつもの県の手口である

▼「のど元過ぎれば」―そんなこと誰かが言ってたっけと、そのうちなるに違いない。