2018年3月28日(水)

▼土地の賃貸疑惑を解明する伊賀市議会百条委員会で、問題の土地の契約解除に「大変困った」と岡本栄市長。「困るのは一社だけ。市民は損をしている」と指摘した委員に対し「あまりにも短絡的な意見だ」と言い返した。百条委設立の大ごとになって市政が混乱しているのに、悪びれることはないのだろう

▼契約に違法性はないことを繰り返した。違法性があれば話は簡単だが、正義とか公正など、倫理に関わる問題は多くは違法性が問いにくい場面で発生する。例えば、市と土地所有者の交渉で連絡役を務めたとされる議員が市に何らかの働きかけをしたかを問われ、岡本市長は「あったとは思えない」。違法の入り込む余地がないということだろう

▼では「親族が役員を務める会社の契約に関与してはならない」と定める議員政治倫理条例の方はどうか。市長はこちらは「報告を受けていなかった」。知らなかったということだろう。違法性が問われるが「指摘が事実なら適切に対応する」。知らなかったのだから、仮に違法性があっても「適切に対応」すればまあいいじゃないかということか

▼地方自治法は、議員の関係する法人が当該自治体と請負契約を結ぶことを禁じている。首長らと親族関係にあれば就任できない監査委員に比べ規制が緩いのは議員の服務規定は議会に委ねる趣旨のため。現実には親族に名義を換えるなどして、違法性はないと主張するケースがままある

▼そんな言い逃れを禁じ、いわば法の趣旨を生かした倫理条例。ことあるごとに政界を揺るがす口利き問題に市長はうといのかもしれない。