2018年3月23日(金)

▼中曽根康弘首相とレーガン米大統領の「ロン」「ヤス」関係しかり。外交に首脳同士の相性は欠かせない。ブッシュ大統領も小泉純一郎首相を「無二の親友」と呼んだ。日米関係の多くの難題を2人の相性で乗り越えたが、ロシアとは勝手が違う。エリツィン大統領と橋本龍太郎首相も「ボリス」「リュウ」の仲だったが、北方四島返還は結果的に前進しなかった

▼四選で権力集中に成功したプーチン大統領と安倍晋三首相との5月会談を前に、河野太郎外相はラブロフ外相と領土問題の環境整備を図ったが「平和条約交渉の文脈では(北方領土周辺)地域の安全保障が最も重要だと確認したい」と注文をつけられた

▼プーチン大統領は来日した2年前、北方領土問題を問われ、昭和31年の日ソ共同宣言に際しての米ダレス長官の「脅迫」に触れた。二島返還で日本が満足しソ連と和解するなら沖縄は返さないという内容である。安倍首相の共同経済活動提案を日ロ平和条約の決定に近づけることが大事だと続けた

▼ロシアの懸念する地上配備型迎撃システムを受け入れながら、河野外相は米軍の意のままに使われることはない、要は心配するなと言うだけだから、ロシアの「対日政策」は「対米政策」であることを改めて強調されたということだろう

▼安倍首相はプーチン大統領ともトランプ米大統領ともファーストネームで呼び合うが、トランプ大統領には頭越しの北朝鮮会談を演出され、鉄鋼輸入制限を突きつけられた。プーチン大統領は、日米同盟の「深化」の行方を瀬踏みしてくるに違いない。内憂外患である。