2017年12月19日(火)

▼「課題は食と医療」と、2月に県が設立した「運転免許証自主返納サポートみえ」と担当の県環境生活部くらし・交通安全課。「事業者にも働き掛け続けて充実を図り、より高齢者が自主返納しやすい環境にしていけたら」

▼「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」は憲法25条。「食と医療」の確保が「最低限度の生活」と言えるかどうか。前途多難を思わせる

▼過去全国ワースト1位だった自主返納率だが、今年の返納者は昨年1782人を大きく上回る5528人(10月末現在)。原因は3月の改正道路交通法施行で、75歳以上の高齢者は記憶力・判断力の認知機能検査で問題が指摘されると医師の診断が義務づけられ、免許取り消しにもなること。全国的にも返納者は昨年比十倍強の勢いだから、ワースト最下位レベルを脱出できるかは予断を許さない

▼くらし・交通安全課自体、自主返納施策は「サポートみえ」設立だけ。商品、施設利用料の割り引きなどの特典サービスを提供する事業所募集は、生活インフラの充実した大都市で効果をあげているが県ではどうか

▼サービス付高齢者住宅という恵まれた住環境の元県職員が「この車社会で車がないということは非常に不便。高齢者が免許を持ち続けたいという気持ちは分かる」という言葉をどう聞くか

▼食べて医者に通えれば人間らしい生活を送れるというのでは、むろんないが、「認知症のおそれ」550人のうち、自主返納などを除き、3分の2が診断や検査結果待ち。その医療不足さえうかがわせている。