2017年12月15日(金)

▼東芝と合弁相手の米ウエスタンデジタル(WD)が和解したことで鈴木英敬知事が「まずは安堵している」。「東芝メモリ」の売却先が決まった時も「まずは安堵している」

▼東芝への変わらぬ信頼を寄せてきた知事だが、二つの節目には「安堵」の言葉以外に、適切な言葉が見つからなかったか

▼知事と東芝、とりわけ西田厚聰元社長との関係は深い。平成25年に志摩市で開催した「台湾観光サミット」は西田氏との雑談の中から誕生したと言われ、県産業支援センター会長、「みえ産業振興戦略」アドバイザリーボード、県経営戦略会議委員など、政策のキーマンに登用。東京での知事後援会の会では来賓として招いている

▼企業への支援についても、国家戦略特区の規制緩和で、県と四日市市で数10億円単位のコストダウンに寄与し、企業投資促進制度の創設で、5年間で10億円近い補助金を決めている。WDとの裁判の行方や東証上場廃止になれば、知事の責任問題も浮上しかねない

▼知事は東芝問題の発覚以来、信頼の中身については雇用確保や技術開発、取引先への影響など、地域経済に限定して語っている。決算で監査法人の意見不表明が出されても「残念。適切な情報開示を」と述べただけで、事業計画には「安心」と語った。企業倫理に触れるつもりも問うつもりもないということだろう

▼「知事は実績を求める。公害問題とは両立しない」と言ったのは半世紀前、四日市海上保安部で公害Gメンと言われた田尻宗昭警備救難課長。企業体質は今も当時を思わせる事例が多いが、知事職の方はどうか。