2017年12月2日(土)

▼稲森稔尚議員が県議会一般質問で「聞いてないことまで答えないで」。本紙焦点採録で取り上げた質疑は「引きこもり」と「高校中退者」問題だが、その中に、指摘される答弁があったのかどうか

▼「引きこもり」問題で松田克己医療対策局長は、本人や家族に寄り添い、関係機関と情報共有したいとしながら「全体的な実態調査は予定していない」。「高校中退者」では毎年2校分の退学者が過去3年間でも一向変わりないことを認めながら、廣田恵子教育長は「進路が未定の生徒を継続的に支援」。内容がない上に、ということも、答弁を遮りたくなる理由にあったのかもしれない

▼聞きたいことには答えてくれないで、聞いてもいないことを長々答えるという不満は、時折議場で表面化する。一つには、執行部が発言通告の真意を聞き取ることにある。限られた時間内で聞き取りの行き違いや、聞き取った内容をすべて答えようとして、先回りして答える現象が起きる

▼思い出すのは、中部電力の芦浜原発問題で緊張した議会で、共産党の質問に農林水産部長が関連の漁業問題について、再三の中止要求もどこ吹く風で延々と答弁を続け、時間いっぱい使ってしまったことだ。自民党議席からはやんやの喝采。のち、当時の三役、出納長に昇格したのは、この時の功績からとやゆする声もあったほどだ

▼答弁上手で定評があった。関連事項をすべて盛り込んだ答弁資料のどこを読んだら適切かを判断できずに、つい長々と読んでしまうのは「聞いてないことまで答えないで」の不満は同じでも臨機応変さに天地の開きがある。