2017年11月3日(金)

▼ものの見方は十人十色。それを実感したのは子ども医療費の窓口無料化である。鈴木英敬知事は公約で「ニーズが高い」とした上で当面、ひとり親家庭等の真に支援が必要な対象に絞って検討すると書き込んだ

▼それ以外についてはどう考えるか。県民の高いニーズを認める以上、ビジョンを策定して当面の策を決めるのが行政手順だが、知事は議会はもちろん津、四日市市長らとの一対一対談で対応を求められてもはきっとしない

▼リーダーシップのなさか。県医師会理事らによると、知事は前向きなのだが、財政を担当する稲垣清文副知事が抵抗勢力の黒幕で、お先棒を担いでいるのが松田克己医療対策局長だという。根拠は不明だが、無料化を進める側として何らかの感触はあるのだろう。弁慶並の忠臣かも知れぬ

▼窓口無料化を先行した鈴鹿市の医療費が増え県は「公平性を保つ」として同市への助成額を見直すという。無料化に伴うペナルティー廃止を国に求めていたが、今度は県が実質〝ペナルティー〟を課すということか

▼「県も何らかのことをやってくれるだろうと期待」と言ったのは乳幼児の窓口無料化を発表した前葉泰幸津市長。いわゆる内務官僚出身者として、行政が考えることは先刻承知。くぎを刺したつもりかもしれぬ

▼無料化は伊勢市、度会郡の五市町も表明している。このままではせっかく改善した「将来負担比率」が吹っ飛びかねないと「公平論」を錦の御旗に押さえ込む戦略か。「戦略的不平等」は知事の持論である。やはり〝抵抗勢力の黒幕の暗躍〟なるものは存在するのかもしれない。