2017年10月25日(水)

▼「区割りの変更で不便や苦労があったと思うが、投票率への影響はなかったと思っている」と、投票率は前回を上回ったことについて鈴木英敬知事は語ったという。区割り変更の影響はなかったにもかかわらず、戦後二番目に低い投票率だった。啓発に責任のある知事として、コメントはないのか

▼鈴木知事が初当選した平成23年知事選の投票率は55・69%で再選の26年は48・35%。今回衆院選は57・09%だから、いいじゃないかという気になるのかもしれないが、自身が旧2区で出馬した21年衆院選は、民主党政権誕生の熱気もあり72・37%。自民党復権の24年選が戦後最低の61・29%で、続く前回選は戦後最低を更新。初めて50%台に転落した

▼政治への関心が長期低落傾向に入っている。区割り変更の影響がなかったで済む話ではない

▼今回最終的に「安倍政権五年へ審判」と信任投票みたいなことになったが、一時は「政権選択」が現実になるかに見えた。スケールは小さくなったが、背水の陣の無所属と自民との対決がわずかに投票率を押し上げたと言えなくはない

▼消費増税分を教育無償化に回すのが自民党の公約だが、教育無償化は前原誠司民進党代表も提唱していた。政策の差は小さく、分かりずらくなっている。対立軸が示せず野党が乱立、混乱すれば与党が総取りしていくのが小選挙区制。内閣不支持率が高まっていた中で今回ほどその特徴がはっきりした選挙はない

▼政治と国民の意識のずれが拡大していく先に何が見えてくるか。投票率という視点から知事の責任は大きいのである。