2017年10月19日(木)

▼南伊勢町へ合併前の昭和60年ごろの旧南島町、竹内組夫町長は難所の野見坂峠を抜く新野見坂トンネル計画に町振興の起爆剤と喜ぶより「若者の流出が進むのではないか」と言って、一部町民のひんしゅくを買った

▼芦浜原発計画に反対する町の運動体代表から町長に就いたが在職中、反対の意思表示は控えめだった。推進に転身したかとまごう発言もあったが、原発抜きの振興策に悩んだ末ではなかったか。南伊勢町と紀北町の町長選が、ともに無投票で現職が3選を決めた

▼両町とも、人口減に悩む。道路整備が若者の流出を招くという竹内町長の懸念が当たったかどうかは分からない。が、紀勢自動車道の整備で、紀北町の国道42号沿いの観光スポットの不振が伝えられる。かつて道路整備予算の拡充で「野呂さん(昭彦前知事)に足を向けて寝られない」と語った河上敢二熊野市長だが、やはり人口減少と通過交通対策に直面する中での市長選に、何を思うか

▼市町村長は歴代、国や県の要望の筆頭に道路整備をあげるのが定番だった。目に見える実績として誇れるからと言われ、知事就任当時は消極的だった北川正恭氏も、市町村長との対話を終えたあと「県の場合、道路整備が求められていることがよく分かった。山を掘り進むことに痛みを感じるが、やむを得ない」

▼市町長が取り組んできた最優先の施策なのに、地域振興とのマッチングは二の次だった。ずれはますます広がっている。南伊勢、紀北両町長とも3選して人口減対策を課題にあげる。初めての無投票が、課題の困難さを物語っている気がする。