2017年10月18日(水)

▼津市救急医療体制が「動き出さない救急車」と言われてきた(まる見えリポート)というのは、やはり苦笑させられる。受け入れ先医療機関を探して、1件につき10回以上問い合わせたのが昨年は60件で前年から半減。「少しずつ縮小」とはいうものの、選定に30分以上かかった割合が3・8%で、県内他市町の最大1・5%に比べ突出というのも、喜んでいいのか嘆いていいのか

▼搬送時間は当然大半が30分以上になろう。平成22年、78歳の女性が救急搬送時に7つの医療機関から受け入れを拒否されて死亡。四日市市民病院までたびたび走らざるを得ない貧弱な救急体制が明らかになり、輪番制や夜間窓口を整備した。それから6年。「少しずつ縮小」ではあまりにささやかではある

▼救急隊員が入力した傷病者データを医療機関がタブレットで見ることができるシステムの導入が「縮小」の理由ではあろうが、情報の整備だけで根本的解決になるかどうか。「何とか今のラインで踏みとどまりたい」(市消防本部)という希望の域はでまい

▼平成27年度に4回開いた「県立一志病院のあり方に関する検討会」で、津市の理事とおぼしき委員が「基礎的自治体としての立ち位置を理解した上で、地域医療にしっかりと取り組んでいきたい」。いいこと言っているじゃないか、と言ったら「あの検討会は何だったのか。何にもならなかった」と参加した県OBが吐き捨てるように言った

▼「その言やよし」とする我ら口舌の徒と、形にしてなんぼの県職員の違いか。津市職員は我らに近いのかも知れない。