2017年9月30日(土)

▼孫の保育園の運動会を見学し、種目が終わるごとに参加園児がバンザイするのを見た。なぜバンザイを―。娘が小学生のころ、疑問をよく口にして教師から「怖い」と言われたので、孫の教育現場では遠慮したが、無邪気なバンザイが国会での解散のバンザイに重なった。なぜバンザイするのか。どちらも分かるまい

▼安倍晋三首相はやぶをつついて蛇を出した。余計なことをして嫌な蛇を出したの意だが、「余計なこと」かどうかはともかく、「丁寧に説明」と言いながら国会召集要求を放置し、冒頭解散をした。消費税の目的変更などの解散理由は、解散のための後付けに映る

▼その結果、民進党の事実上の解党と希望の会合流への急転劇は、政策の一致を二の次にした選挙互助会の影がつきまとう。政策論争より疑惑隠し追及と野合批判が優先されそうな選挙戦は有権者にとってまことに不幸なことだが、解散当日の夜は県内報道機関と県医師会との懇親会が開かれた

▼「解散の多忙の中、医師会を選択していただき」は、司会のジョークだが、子ども医療費の窓口無料化、働き方改革を活動の二本柱に医療を通じ県内政界へも強力な人脈を持つ医師会幹部らの話題はもっぱら選挙情勢だった。政権の受け皿の出現で関心はいつになく盛り上がっている

▼「岡田さん(=克也元民進党代表)は無所属か」「いや、合流を了解したんだから」「了解?」「前原誠司代表は幹部には説明したと」。参加意識第一がこれまでも政策論争以上に有権者を選挙に駆り立ててきた。政治は国民に対し、最低限の提示はできた気がする。