2017年9月27日(水)

▼読み書きに困難が生じる障害を指す医学用語「ディスレクシア」を三重県議会で発音して、東豊議員が「舌をかみそう」。よどみなく発音する廣田恵子教育長に「うまく言っていただいた」

▼皮肉ではなく賛辞なのは、その後も同教育長が連呼したということで分かる。世の中変わった。カタカナ語は県議会でよく話題になる。古くは田川県政当時、県教職員組合出身のベテラン県議が「県民に分かりにくい」と是正を求めた

▼「まことにその通りで申し訳なく思うが、国が安易に使ってきて翻訳しにくい」と言ったのは田川亮三知事。同じ趣旨の質問に、次の北川正恭知事は「いまや国際化時代。県民も世界に共通する外国語をある程度は学んでいく姿勢は必要だ」

▼その後の答弁も似たり寄ったりだが、文部科学省は10年ほど前、外来語が円滑なコミュニケーションの障害になっているとして、日本語を一層魅力的で価値あるものにしていくため行政用語などに分かりやすい日本語への言い換えに配慮することは社会的責任だと通知。白書に記載もした

▼アカウンタビリティーは説明責任、イノベーションは革新へなど、いくつか例示している。うちインセンティブは誘因、刺激、報奨金など。使う場所で意味が違ってくる。「日本版DMO」のD(デスティネーション)も観光戦略を指すのだろうが、英和辞典では「目的地、行き先、到着地」。意味は分からない

▼文科省が特に注意を促す専門領域で使われていた語がそのまま一般社会に流出するケースも、いまや教育長が何のためらいもなく繰り返す。世の中は変わった。