2017年9月24日(日)

▼パソコンで原稿を打ち送信するが、使い方はワープロ当時と変わらない。機能も辞書代わりにネット検索を利用する程度で、携帯はガラケー。スマートフォンやパソコンに標準搭載されている近距離無線通信「ブルートゥース」の不具合で、機器が乗っ取られる危険性があるといわれても、何が危険かさえピンとこないが、同業の幹部記者が被害にあった告白を読み、なるほどと思った

▼無料通信アプリ「LINE」に友人のにっこり笑う画像とともに連絡がきたそうだ。都合を問い合わせたあと「折り入ってお願い」。コンビニで3万円分のビット・キャッシュの購入を頼まれた。電子マネーだ

▼いぶかる幹部記者に「出先でちょっと困ったことになっている」「後で詳しく話す。切羽詰まってる」。日ごろの自由奔放な性格が頭に浮んだらしい。トラブルにでも巻き込まれたか。一つ貸しですよと言って、カードを購入し、固有のIDを送信。解決したかを問うと、連絡がきた。「もう10万円お願いできる?」

▼おれおれ詐欺に引っかかった激しい羞恥とともに、思い込みは怖いというのが反省点だ。勝手に人物像と重ね合わせ、状況を想像した。ITに詳しい友人であることでも違和感はなかったが、3万円も送るのに電話一つしていないのだから、本人も立派なデジタル人間だ。世情を取り込み、人間の心理を突く特殊詐欺師にとって、事件の筋読みにたけた記者も高齢者も変わりないのかもしれぬ

▼友人はアカウントを盗まれていたという。「お前許さないからな」とメッセージを送ったが「既読」にならなかった。