2017年8月3日(木)

▼地方行政の特徴は前例主義と横並び意識といわれる。その方が失敗が少ないからというのが前例主義になる理由だが、新しいことをやると仕事が増えるからということもあるのだろう。横並び意識もまた、公平・公正が大事という建前だが、働くのは利益や義務に対してだけ。仕事増を嫌うのは同じで、二つが相まって事なかれ主義の文化を育んでいく

▼鈴鹿市が、夏休み恒例の小学校プール開放を22校で中止にしたのは6月。全国的に開放プールでの重大事故が起きているため昨年調査したら「AED(自動体外式除細動器)の場所を知らない」「スマホや私語に夢中」「監視者がスカート着用」などが確認された。監視役の保護者に安全管理基準を上げたら、辞退が相次いだ

▼「いつの間にか当たり前の年中行事の一つになり、安全対策への意識が薄れてしまったことも要因」と、市文化スポーツ部副参事が言ったのは思えば至言だった。四日市市で一日、低学年用の開放プールで泳いでいた小学校三年生の男児が溺れた事故で、備え付けのAEDが使用不可の状況だった。時間的経過が報道されていないが、心臓発作で倒れた場合は二分が勝負とも言われるAED使用なのに使用不可とは致命的だ

▼国のガイドラインはスポーツ施設への設置を求めている。設置はしたが、使えるかどうか点検していなかった。お隣の鈴鹿市で前例主義を打ち破る決断をしているのに、四日市市は何の関心も持つことはなかったのだろう

▼正しい意味でのお役所の横並び意識。というより不作為。安全管理義務違反が問われないか。