2017年7月26日(水)

▼県というより鈴木英敬知事の提案で、県の仲立ちで鳥羽、志摩両市が総務省とふるさと納税で意見交換したのが6月30日。中身は平行線で、さて次なる手はと目をこらしていたが、何の見せ場もなく両市は真珠の返礼品を断念した

▼議会が再考の意見書まで採択している鳥羽市の中村欣一郎市長が「国の姿勢はかたくなで(中止は)苦渋の決断」。予想したことが予想通りだったということだろう。せめて知事の出番を作ってやることができなかったか

▼総務省との会談前までは、両市ともに同省の通知を守らなければならない筋合いなどないと鼻息が荒かった。「その気持ちもよく分かる」と言ったのは知事だ。「落としどころ」を目ざし意見交換の場を設けるとし、しかし「市町と国では国のほうが力が強かったりするケースもあるかもしれない」から「我々も一緒になって知恵出しをしたり議論したりして」いくと語った

▼が、実際は県の意見はほとんど出なかったと伝えられている。その上「国はかたくな」「苦渋の決断」(中村市長)。国の力の方は、まさに知事の指摘通り、強さをまざまざと見せつけた格好

▼意向に反する自治体への国の圧力はよく知られている。北川正恭知事(当時)が農林水産部の名称廃止の意向を示した時は農林水産省の反発は激しく、予算はすべて凍結するみたいな勢いだった。結局「農水商工部」で妥結したが、確かに地方債を握る総務省に、市が本気でけんかは売れまい

▼戦略特区ではないが、あらかじめ決まっているのが「落としどころ」の意味だとして、特に間違いではない。