2017年7月21日(金)

▼朝鮮学校を高校無償化の対象にしなくてもよいという広島地裁の判決に、鈴木英敬知事も人知れず胸をなで下ろしたのではないか。「朝鮮学校は北朝鮮や在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)の影響下にあり」という国の主張が追認されたのだから

▼県が朝鮮学校への補助金を停止したのは、学校施設への根抵当権解消の指導が実行されなかったからで、国の主張とは直接関係ない。が、同趣旨で文科省から補助金留意の通達が来るなどが議論になった議会で、担当部長はそんな趣旨は確認されていないと答えたのに対し、知事は大いに関心を示した

▼停止はあくまで根抵当権問題だと事務的判断を装いながら「ミサイル発射とか文科省からの通知なども一定加味」と、よろいを見せた。国は、半世紀ぶりに地方へ一矢報いた形。「民族性又は国民性を涵養する朝鮮人学校」は「各種学校として認可すべきではない」と昭和45年、都道府県知事に通知したのに無視された。三重など三県とはいえ停止し、裁判も勝訴。「してやったり」だろう

▼「北朝鮮や朝鮮総連の影響下」はもともと公安調査庁の報告書。民間人らが補助金停止を求めて提訴した時にも提出されたが、神戸地裁は「教育行政上の観点からのものでなく」と退けた。司法も〝一強独裁〟相手となるとそんたくも働くか

▼美しい国ではないが、このところ日本人の素晴らしさがよく強調され、恥ずかしながら自信がみなぎらぬでもない。だから子どもへのうっ憤晴らしだとか、とばっちりだと、少しでも疑いのもたれる言動は誰もが取ってほしくない気はする。