2017年6月1日(木)

▼ふるさと納税の返礼品人気トップの宿泊券は「商品券」と認めて中止することにした志摩市だが、二番人気の真珠製品まで総務省から中止要請されて、竹内千尋市長が「真珠は宝飾品ではなく水産品だ」

▼寄付額によってネックレスやイヤリングなどを六段階に分かれ、二万円から百万円。何とも高価な水産品だ。寄付額も相当な額なのだろう。ふるさとを応援したいという熱い思いか、どうせ納税するのなら税額控除が受けられ、資産価値のある高額製品がもらえる自治体にとそろばんをはじいたか、サミット出席の首脳にあやかろうとしたか

▼もっとも、竹内市長も「真珠生産額がピークの四分の一まで落ち込む中、サミットやふるさと納税で回復傾向に転じた」。地場産業の根幹だから「容認はできない」というわけで、こちらもお礼というより、欲と見返りの計算づくといえようか

▼「ふるさとを応援したい」「ありがたい。どこに居てもふるさとを思い出していただくための記念品を贈らせてもらう」などという気持ちはお互い、特に自治体側はとうに失っていたのかもしれない

▼改革派として人気絶頂期の横浜市長の中田宏氏(当時)に、国と争うことになったら勝てるかと聞いた人がいた。「国は法律を作るから勝てません」。政策の欠陥をつくろうためなら、ルールだって平気で変えてくるということだろう

▼竹内市長も「容認できない」としながらも、「継続できるよう理解を求めていく」。強腰で臨む気はないようだ。サミット効果を風化させたくない鈴木英敬知事にここは一肌脱いでもらってはどうか。