2017年5月29日(月)

▼人権確立と自己実現のための教育を目指す公益社団法人・県人権教育研究協議会が決めた本年度の研究課題の中で、県が朝鮮学校への補助金支給を停止したことについて「子どもたちが自らのルーツを学ぶ場が失われている状況」と位置づけた

▼朝鮮半島との歴史的経緯や国家間の問題で、ヘイトスピーチ(憎悪表現)やネット上の誹謗中傷などの人権侵害にさらされ、民族学校に通いたくても通えない子もいる状況なのに、補助金支給停止は「学ぶ場」そのものを失わせるとし「子どもたちの学習権を保障し、自らのアイデンティティを確立していく必要がある」と説いている

▼県は学校に根抵当権が設定されていることを理由に本年度予算に補助金を計上しなかった。「生徒たちは学校に通うことができなくなる、学校存続において大変重要」で「大変残念」と鈴木英敬知事。学ぶ場を失わせるのは学校側であり、補助金停止は不本意な措置みたいな口ぶりだが、同時に予算を計上した昨年分も執行停止した

▼こちらは昨年、朝鮮総連との関係などを理由に馳浩文科相(当時)が補助金見直しを通知したことを受けてのこと。「しっかり調査をし精査を」した上でと答えたのは二月九日の記者会見だが、結果は発表されずに茨城、和歌山とともに文科省通知で執行停止した全国三県の一つになった

▼通知もだが「北朝鮮のミサイル発射とかの国際動向も一定加味する」とも会見で予告。政治的に判断することを認めた。教育への首長権限強化での懸念が形になって表れた初め。表れやすいところに表れたということだろう。