2019年5月5日(日)

▼特別支援学級に通う娘を心配する母親の新聞の投書が目にとまった。中一の娘はムラっ気で、できることもやらなかったり、動かなくなる。先々不安が「必ず成長するよ。大丈夫」という同じ立場の母親の投書で励まされたという。いずこも同じ、子を思う親心だが、いつの時代も親と子の気持ちはずれるものらしい。宮崎吉博・伊勢市市社会福祉協議会長が「大人と子ども」の題で機関紙に書いていた

▼「子どものことは分かっている」大人と、「親にだけは分かってほしい」子どもとの間でずれは始まる。宮崎さんが昔、特別支援学級の指導体験を語ったのを思い出した。普通学級へ移った児童がいじめられていたので飛び出したら「お前は関係ないじゃないか」とすごいけんまくで怒った。もうお前の学級の生徒ではないんだというのである

▼賀状を出していた卒業生からもうよこさないで、自分は大丈夫と断りの連絡があったとも。県には平成の初め、盲学校(当時)から普通校への転校を求めて、自主通学も含め四年間、県・市教委と戦った森本おりえさんもいた。「ノーマライゼーション(障害者や高齢者がほかの人々と等しく生きる社会環境を整備する考え方)はお題目。子どもの権利条約は通用せず」―は母親タツ子さんの当時の述懐である

▼「可愛い子には旅をさせよ」と言うと「ハワイ、グアムへ行きたい」という時代。「いつまでもあると思うな親と金」の方はどうか。県も特別支援学校への入学希望が増えているという。自分が子どものころを振り返るのが親と子のずれを少なくする第一歩だそうだ。