2017年12月26日(火)

▼議員のなり手不足の高知県大川村村長が、村議の兼業禁止の緩和を国に要望した。非営利事業の役員などを対象外にしないと、村議立候補のハードルが高いという。該当するかどうかは議会の議決で決まることだから、自治体自身で検討するのならともかく、全国一律にしては弊害の方が多過ぎる気がする

▼伊賀市議会の百条委員会設置も、兼業禁止規定がなかったら多少違ってきたのではないか。バスの待機スペースとして市が借りた土地の賃料が高すぎるという疑惑が浮上したとしても、その土地を市議の妻が役員の会社が購入していたり、長男が幹部を務める会社に売却されていたなどの経緯がなければ、疑惑は疑惑のままで終わったかもしれない

▼亀山警察署も、県議が実質経営者の業者が転売に絡んでいて問題になったが、立ち消えになった。身内という問題もあったのかもしれない。兼業禁止規定は家族には及ばないから、会社の実権を握ったまま名義を家族にする例は枚挙にいとまがない。旧久居市で名目上、離婚した妻が市から仕事を請け負っていたというケースがあり、この規定をすり抜けるためだと言われた

▼家族が事件に顔を出してくると、何か裏があるのではないかと感じるのは人情というものだろう。首相夫人が絡む森友学園問題ばりに、市職員が契約の経緯について「記録がない」「記憶がない」と繰り返すというのが、連想を膨らませる。積算根拠が六年前の別事業の鑑定から算出したというのも、あきれたずさんさだ。規制緩和でハードルを下げるのは、民間対象にとどめておくべきだろう。