2017年6月18日(日)

▼以前書いた話を繰り返すのは恐縮だが、田川亮三知事が初当選した昭和四十七年、前知事の腹心の出納長が廊下ですれ違いざま「ほれっ」と辞表を放った。「大したやつ」と水谷正俊県議が感嘆していた

▼平成七年の知事選で、北川正恭氏から「県庁集票マシン」と非難されるほど対立候補の前副知事を支援した県職員だが、一人も辞めなかった。腹心が直立不動で昇進辞令を受け取ったといわれ「あの人にはどうなるか覚悟しておけ、と脅された。辞めないとは」と広報課長があきれた

▼「トップが変わればその政策を遂行するのが、いい公務員」という説が庁内に流れたのもそのころだ。「県職員はすすどい」と就任前の講義を受けた北川氏が笑った。「さわやかとか県民サービス、生活者起点など、わたしが好きそうな言葉をちりばめてくる」

▼退陣した二年後、会議室をのぞくと「さわやか会議」と書かれた色あせた紙が張ってあった。「必ず一回は発言する」などとある。「あれは何かね」と聞いたら中堅女性職員が「さあ」と言ったのには笑った

▼「選挙を左右する」と情報公開にも熱心だった。全国市民オンブズマン連絡会議の情報公開ランキングで、平成八年は二十五位だったが、十四年には二位。退任翌年は一位。基準が変わったが、現在は二十位前後。元に戻った

▼鈴木英敬知事は一昨年、知事として二番目にイクボス宣言。今年はNPO法人「ファザーリング・ジャパン」のイクボス充実度ランキングで全国一位に。所属長が全員イクボス宣言をしていることが評価されたという。まことに―めでたい。