【鈴鹿】三重県の鈴鹿市議会2月定例議会に上程中の同市こども条例制定案について、市民団体の子どもNPO空飛ぶスイミーの福本悦子代表(53)は18日、同市役所で「子どもの声を聞いていない。理念条例で実効性がなく納得できない。策定過程にも問題がある」と訴えた。
同団体は子育てを終えた女性を中心に、平成15年に設立。子育てに関する調査研究などに取り組み、市のこども条例制定のために政策提言を続けてきた。
今回は同市議会に、条例案に関するパブリックコメントの実施と条例制定延期の2点を要望する請願書を提出。請願書は同条例制定案とともに13日の同市議会地域福祉委員会で審議、審査された。
担当の子ども政策課は「(パブリックコメントは)法令順守し、適切な時期に適切なかたちで実施してきた。(条例の)分かりにくい部分は逐条解説で対応し、延期すること無く進める」などと説明。
採決では議案については全員賛成で原案通り可決、請願の採択については全員反対で否決した。
同委員会での否決を踏まえ、福本代表は「請願に対する質問もなく否決された。しっかり審議したと思えない。請願の意味も無く、小さな市民の声は通らない」と市議会への不信感を示すとともに、市に対し「市民への周知が少ないことや箇条書きの骨子案によるパブリックコメントの形骸化が問題。条例案には子どもの権利を保証する権利擁護の明記がない」など、進め方や条例の課題を指摘した。
その上で「20年間市と一緒にやってきたが、今回ほど協働できなかったのは初めて。職員の質なのか、よく分からない。もっと良いものができると思っていたが、課題が山積している」と市の姿勢に疑問を投げかけ、「条例はこのまま可決されるだろうが、見直しを求めていくことに引き続き声を上げていく」と話した。