伊勢新聞

甘夏収穫は余暇の選択肢? 尾鷲で記者がワーケーション体験 三重

【甘夏収穫を体験する参加者=尾鷲市南浦の平山農園で】

【尾鷲】余暇を楽しみながら仕事に励む「ワーケーション」が広がりを見せる中、余暇を甘夏収穫に置き換えた三重県の企画が今月、尾鷲市で始まった。記者(23)は「農作業も余暇の選択肢に?」と疑念を抱き、自ら体験してその答えを探った。

県によると、一次産業を通じて関係人口を増やそうと、昨年度に始めた取り組み。同市天満地区の3農園で「甘夏収穫ワーケーション」が体験できる。参加者は農作業への没頭で心身がリフレッシュされ、仕事の効率向上が期待できるという。

九日午前9時、有機農法で甘夏を栽培する同市南浦の「平山農園」を訪ねた。約510アールの甘夏畑では、例年より約1カ月早い2月上旬から収穫が進んでいる。背丈の3倍ほどの木々が生い茂る畑を見渡すと、まだ多くの果実を残していた。

農作業をすること自体が初めての記者。平山玲さん(50)から「少し枝を残して摘み取り、切り直す」と指導を受けた。日当たりの良い斜面を歩き回り、規格ゲージで測ったMサイズの実を枝切りばさみで収穫。肩にかけた袋に詰めていった。

作業では、姿勢を変えながら収穫したり、実を落とさないように運んだりと、力仕事の苦労が身に染みる。それでも、木々の隙間からのぞく尾鷲湾や、一帯に漂う甘酸っぱい香りなど、認識できる五感だけで心身の疲労回復には十分だった。

ワーケーションを冠するが、参加者の目的が仕事とは限らない。運動で汗を流した後の気分転換という地域住民(67)、過疎地を巡る旅行の道中という都民(41)など多岐にわたる。参加理由は違えど、達成感に満ちた声と表情は共通していた。

当の記者は収穫作業を終え、支局で来週に迫るイベントの告知記事を仕上げた。心なしか余裕を持ってパソコンと向き合えたのは、甘夏畑に3時間ほど身を置いた効果の表れだろう。仕事の合間を縫って、尾鷲で甘夏収穫を体験してみては。

県や運営者の一般社団法人「日本ウェルビーイング推進協議会」は参加者を募集している。無料で半日(3時間)から甘夏収穫を体験できる。4月30日まで。添付のQRコードからLINEで友達登録し、チャット機能を使って申し込む。

【LINEのQRコード】