【いなべ】三重県のいなべ市は18日、新年度当初予算案を発表した。一般会計は前年度比13・5%増の282億6千万円で過去最大規模。能登半島地震や埼玉県八潮市の道路陥没事故を契機に防災や老朽インフラの更新が問題となっており、国の緊急防災・減災事業などを活用し、消防団詰所、道路、河川、橋梁(きょうりょう)、上下水道など公共施設の点検整備に努め、市民の安全で安心につながる投資的予算とした。21日開会の市議会3月定例会に提出する。
歳出では、普通建設事業費として59億円を計上し、投資的経費が前年度比97・1%増(29億1千万円増)となった。公立小中学校整備事業の体育館空調設備設置工事や大規模改修工事、消防団施設整備事業の消防団詰所整備、スポーツ施設修繕事業の大安スポーツ公園体育館や大安海洋センター体育館の耐震補強・長寿命化工事、社会教育施設整備事業の藤原文化センター大規模改修工事などを行う。また制度改正に伴う児童手当事業などの増により民生費が4億4千万円増、阿下喜温泉再構築事業や水素ステーション整備事業などに係る借入の償還開始の増により公債費が1億3千万円の増となった。
歳入では、市税は前年度比2・8%増の97億円となった。市債は前年度比105・7%増(26億2千万円増)の50億9千万円を計上。緊急防災・減災事業債は37億2千万円を計上し、消防団詰所整備や車両購入、避難所指定されている小中学校の体育館空調整備などのために借り入れる。
記者会見した日沖靖市長は「防災に関係した建替や新築がほとんどで『安全安心予算』」と強調。さらに、市が伝統的に一人一人を大切にし、地域の人々とつながり、支え合う教育を実践してきた結果、本年度の全国学力・学習状況調査で市の教育が中学生の自己肯定感や協働力を育んでいることが証明され、全国平均や県平均を大きく引き離す結果が出たことを紹介した上で「市民の満足度、幸福感も上がってきて、郷土への誇りや愛着も持ってもらえるようになってきている。まちづくりを進め、さらに幸福感を高めたい」と述べた。