【尾鷲】三重県尾鷲市古戸野町の県立尾鷲高校が本年度、デジタル教育を支援する文部科学省の「高校DX加速化推進事業」に採択され、生成AI(人工知能)の活用やドローン操縦を学ぶ授業が始まった。産官学連携によるITを通じた1次産業の再生に取り組んでいる。
市によると、同校は同事業の新規採択校。補助金1千万円を活用し、システム工学科3年生のパソコン班5人が「課題研究」科目で、全23回の講義を受ける。IT企業や三重大学の外部講師からIT技術を学び、最終的に市特産「甘夏」栽培の機械化を目指す。
同市光ケ丘の同校光ケ丘校舎で16日、市と連携協定を結ぶ人材サービス大手「ディップ」が初講義を開いた。水谷美晴さん(29)が、スライドを用いて生成AIの正しい活用法を説明。仕組みを解説した後、誤情報の拡散や著作権侵害といったリスクを取り上げた。
その後、学生らは2人1組でタブレット端末を使い、グーグルの対話型AI「ジェミニ」の使い方を学習した。課題やターゲットを考え、同校ホームページを作成。チャット機能に「赤を基調として」「近未来風」などと打ち込み、完成した作品の違いを体感した。
水谷さんは「生成AIは仕事や教育など、多くの場面で使用され始めている。正しい活用法を身につけ、地域の課題を探ってほしい」と期待。野田雅貴さん(18)は「AIは良くも悪くも、人間の努力を一瞬で超える。ルールを守り、上手に付き合いたい」と話した。