▼トランプの関税政策が迷走中だ。中国との交渉では145%がなんと30%にダウン。まさに中国に屈したと言え、トランプ砲が「空砲」であることがはっきりした。トランプは中国を甘く見ていたのだ
▼いまや中国は世界の製造業の約30%を占め、中国なくしては人々の生活は成り立たない。世界の化学品生産の約50%、船舶の約50%、EVの約70%、電池の約80%、民生用ドローンの約80%、太陽光パネルと精製レアアースの約90%を中国が握っている。その能力は、造船業で米国の200倍、セメント生産で20倍、鉄鋼生産で13倍だ。すでに特許出願数では米国を抜いている
▼地政学には覇権交代論がある。20世紀、英国から覇権を譲り受けた米国は、これまで挑戦国を次々に退けてきた。冷戦ではソ連を、経済覇権では日本を退けた。しかし、中国はそれ以上の手強い相手だ。米国単独では勝てない。欧州諸国や日本など、自由と人権、民主主義を共通の価値観とする同盟国の力を借りなければ無理である。それを思い知らない限り、トランプは失権する。我々はただその時を待っていればいい。